「らしさ」と向き合う旅と時間【うどんの館 大庄屋 / 10分うどん】

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旅の目的にはいろいろあるけれど、よく耳にするのが「自分探しの旅」だ。

この言葉は、特に一人で長旅をする人から聞くように思う。

 

自分はこの言葉に違和感を持っていて、もし友達が「自分探しの旅に出る」と言ったら、「じゃあ僕の目の前にいるキミは一体誰なんだ」なんて空気の読めないことを言うだろう。

 

というのも、かく言う自分も学生時代に「自分探しの旅」に出たことがあるからだ。

 

およそ3ヶ月間の地球一周の旅。

街の中、博物館の中、砂漠の中、その他どこにも『自分』そのものを見つけることはなかった

 

 

じゃあ、この旅は無意味だったのかというと、決してそんなことはない。

なぜなら、のちの人生を ” 自分らしく ” 生きるためのヒントはたくさん得られたからだ。

 

そしてそれらを見つけた場所は、ほかでもなく他人ひと』の中だった。

 

普段、自分の生活圏内では見られない、常識や枠にとらわれず自分らしく生きる人たち。

特に、自由で楽しそうに仕事をする人たちの生き方は、帰国後に社会人となる自分にとって、大切なヒントになった。

 

 

そのヒントたちを並べながら、宿泊先や帰国後の部屋で、静かに自分と向き合う。

 

自分は今後、何を軸に生きていくのか?

 

「こうあるべき」という常識にとらわれていないか?

 

どう「自分らしく」働いていくのか?

 

モヤモヤ、スッキリを繰り返しながら、少しずつ答えを見つけていった。

 

 

常識というフィルターを外して『他人ひと』の生き様を見る。

そして、『自分』の生き様と向き合う時間を持つ。

 

あの旅は『どこかにいる本当の自分』 を探す旅などではなく、『すでにある自分』と向き合う旅だったのだ…

 

 

そんなことを、僕はうどんをすすりながら思い出していた。

 

 

僕が食べているこのうどんには、あのときの旅の記憶を呼び起こす力がある。

 

なぜなら、ここ『うどんの館 大庄屋おおしょうや』にも、世間の常識にとらわれず、自分らしさ全開で仕事をする人たちがいるからだ

今日はその人たちについて紹介したい。

 

うどんの館 大庄屋

 

ユーモア溢れる活動

香川県琴平町にある『うどんの館 大庄屋』は、製麺事業を中心に、販売事業、観光事業を展開されている。

しかしそれ以外にも、およそ「うどん屋」のイメージからは想像できない活動が数多くある

 

それはホームページにも「ユーモア活動」としてページが作られるほどだ。

 

例えば、オリジナルのキャップやパーカーを作って販売したり…

 

 

うどん工場に記者会見のセットを作ったり…

 

 

うどんが当たるガチャガチャを置いたり…

 

 

ヒーローと契約を結んだり…

 

 

プリクラ風写真を撮れるようにしたり…

 

 

枚挙まいきょいとまがない」とはこのことだ。

 

特に、Twitterで主に発信している山地専務山下工場長を見ていると、本当に楽しそうに仕事をされているなあと感じる。

お2人の楽しげに活動されている姿を見た人々は、自然とファンになっていっていると思う。

 

 

こういった仕事への姿勢について、専務の山地さんは、インタビューでこう話されている。

大庄屋は「うどん×何か=楽しいこと」をする会社です。
僕たちは、讃岐うどんを切り口にして、皆さんが楽しいと感じるコトやモノを提供する会社でありたいと常々考えています。
讃岐うどんの可能性は無限大だと思いますから。
良い意味で、うどん屋さんらしくない、うどん屋さんでありたいです(笑)

 

引用:讃岐うどんCLAP「10分うどん」のこれから~山地専務と山下工場長の10分では語りきれない話「うどんの館 大庄屋」~」

 

こだわりのうどんを堅実に作りつつも、業界の「らしさ」にとらわれないことが、「大庄屋らしさ」をより強固なものにしていっているのだろう。

 

誰かに捧げる、休憩時間10分

 

大庄屋の活動の中で、特に最近、ネットやテレビなどで話題になっているものがある。

それは、工場長が自分の休憩時間を使って、10分間だけ営業する『10分うどん』。

 

香川のうどん屋さんは、その営業時間の短さが揶揄やゆされがちだけれど、それらをはるかに凌駕りょうがする短さの10分間。しかも不定期営業だ。

(営業日は工場長のTwitterで確認できる)

 

これは僕にとってはある種 ” お祭り “ のような感覚で、その非日常感を楽しんでいる。

そして何より、こだわりと思いの詰まった大庄屋のうどん『ゆう玄』は本当に美味しくて、営業日にはほぼ毎回食べに来てしまうのだ。

 

 

このWEBメディア『KOTOHIRA WALKER』は、遠方から琴平に来るタビビト向けに書いているから、” 10分 ” だけを狙って来るのはなかなか難しいかもしれない。

けれど、チャンスがあればぜひこの ” うどん屋らしくない ” うどん屋に来てみてほしい。

 

そして活き活きと うどんを提供される工場長や、他の従業員のみなさんの姿を見てほしいと思う。

 

 

おわりに

世間の常識や 業界の「○○らしさ」にとらわれすぎることは、ときに身動きを取れなくさせたり、仕事をつまらなく感じさせてしまうことがある。

 

そこから抜け出すきっかけの1つとして、 ” 旅 “ はきっと有効だ。

いつもの生活圏から離れ、新しい価値観やおもしろい人たちと出会うことは、自分らしく生きるためのヒントにつながるからだ。

 

けれどそれらの気付きは、また忙しい日々の中に戻ると、ともすれば忘れてしまいがちでもある。

 

だから僕は、あの旅で得た気付きを忘れないよう、ここへ来て思い出す時間を持つのだ。

 

 

たとえそれが、10分間だけだとしても。

 

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銀三郎 - Ginzablow

栞や- shioriya - Creative Director